なぜ海外イベントって探し難いのだろうか?

 以前にも書いたお話しで、正直海外のカンファレンスは探しにくい。イベントグローブは年間1000件を超えるイベントを紹介していて、おそらくその9割は日本であまり知られていないもの。
 専門産業系のイベント参加者は比較的同じイベントにレギュラーで参加すると想定されていて、従事する産業界のテーマに沿ったカンファレンスに参加している。

 対して複数業界に渡ってサービスを提供する事業者、特にマーケティング関連のサービス事業者は常に新しいイベントを探し、顧客に向けたサービスを模索する必要がある。そんな彼らが参加したいと思うイベント出会うのは至難の技だ。

理由としては:

  1. 非英語圏の人間には英語のキーワードが見え難い
  2. タイトルがクリエイティブ過ぎて何のイベントか把握しにくい
  3. Webサイトの構造から必要な情報を取り出しにくい
  4. 会場の情報を公開するのが遅い

1.非英語圏の人間には英語のキーワードが見えない:
 これは仮に英語が十分に話せる日本人でも同じで、長い文章の中で重要なワードが把握できるか?ということ。母国語であればテキストに埋もれることのないキーワードも外国語であれば埋もれてしまうのはやむを得ない。

2.タイトルがクリエイティブ過ぎて何のイベントか把握しにくい:
 イベントの内容をわかりやすくするのであればその産業の名前そのものを使うのが常道であり“Digital Marketing Summit”となるわけだが、同じような名前が多くなるのでクリエイティブに走る。その結果、外国人には瞬時には何のイベントであるか把握しにくいものになる(Baby Bathwaterって何のイベントか分かりますか?)。これだけ情報が溢れる時代なので瞬時に把握出来るかどうか?は重要なポイント。

3.Webサイトの構造から必要な情報を取り出しにくい:
 各主催者がクリエイティビティに走った結果なのか?それとも単純に物事が整理できないのか?(特にに日本の)参加者が必要としている情報の在り処が分かりにくい。主要なスピーカーやプログラムは、参加者が勤務先の承認を受けるために最も重要な情報。もちろん次回開催のスピーカーが決まっていない場合もあるが、最低限過去の登壇者やセッション内容があれば承認は取りやすい筈。

4.会場の情報を公開するのが遅い:
 これは公開が遅いならまだ良いほうで、中には会場情報がサイトに掲載されていないケースもある。イベントグローブは定期的にイベント情報をアップデートしていますが、一ヶ月前でも会場情報が具体的に掲載されない(開催都市名のみ)ケースが10%近くあるのは事実。
主催から見れば「現地に来れば分かるから」とか「会場はいつもと同じだから」みたいな感覚なのかもしれないが、会社目線で見ると、会場名が無いイベントへの参加承認を渋るケースはあるだろう。

 イベントグローブでは、以上の課題を解決するためにグローバルのビジネスイベントのカテゴリー化、関連キーワードのタグ付けによる分類を推進しています。カテゴリー以上に関連キーワードの適用は横断的に情報を収集するために重要なキーとなっていきます。

もう一つの課題:
 実は国内でも海外のイベント主催者の代行を行っている事業者がおり、それらの企業が日本語公式サイトを名乗っているため、主催社にとって本当に重要なリードが届かないという事象も発生しています。

 これらの代行業者は海外の主催社に対して自らがレップ(代行)を行う交渉をしますが、実際には単なる代行業者を名乗るのではなくWeb上で公式サイトを名乗ってしまいます。しかし業界別の専門知識を持ったスタッフがサポートする訳ではないので、主催者であればこそ出来るサポートを望むことが出来ず、ビジネス機会の損失が発生しています。
 実際に過去に主催者の日本法人として運営していた国際カンファレンスについて、本社のマーケティング部門が直接この代行業者と契約をしてしまったために重要な リードが日本法人に届かないばかりか、本社でも把握できない状態。代行業者は個別企業の重要性や戦略性を理解していないから顧客毎の丁寧なサポートをせず、大事なビジネス機会を逃してしまう。
更にはこの代行業者のWebページがイベントへのトラフィックをすべて堰き止めてしまっていて、(本当の)オフィシャルサイトで公開している日本語版のコンテンツ情報へもリーチできないユーザーが続出しています。

 代行業者によるWebの本来の役割は、発注者である主催者にトラフィックを流すことですが、それが全く出来ていないのでコンテンツとしてのイベントサイトが活きてきません。 厄介なのはこれらの代行業者が意識的にトラフィックを堰き止めているのではなく、全くの無知でトラフィックを止めてしまっていることです。実は2017年4月に日本で開催された国際イベントのWebコンテンツが未だに公式サイトの名目で残っており、これによって2018年秋にスペインで開催された際にもトラフィックを正常に送り込んでいないという話を聞いています。これはある意味キュレーションサイトよりも質が悪い問題であり、日本でのグローバルカンファレンスのマーケティングに大きな問題となっています。