イベントのホリゾンタルシフト

イベント業界のシフト

 専門バーティカルからテクノロジーホリゾンタルへのシフトが起きている。“変わりゆく世界のイベントプレイヤー”でも書いたように、サービスを提供する企業によるプライベートショーが増加している。プライベートショーはテクノロジーやサービスを基軸としたホリゾンタルな部分であり、従来であればメディアやイベント事業者がバーティカルを得意としていた。

 つい30年前、モノがない時代に産業横断型のイベントがホリゾンタルとして情報流通を席巻していた。これが例えばビジネスショウ(日本経営協会)であり、エレクトロニクスショー(現CTEC)で、バーティカルな特定産業セグメントに向けたイベントではなく、複数の広いセグメントに情報を提供していた。就活中の大学生は皆日経新聞を読み、ビジネスショーにも参加して世の中のトレンドを把握することが就活には必須となっていたのだ。それが、ほんの10年位のウチに変わり、今ではビジネスショーといった中庸なイベントは跡形もない。

 その後に台頭したのが、WPCエキスポ(日経BP社)のようなPC産業バーティカルなイベントであり、それらはより狭く、深いレベルでの情報を提供した。そもそもバーティカルなイベントは、元々各産業界に根付いており、その昔から多く開催されているが対象とされるオーディエンスは限られているのは事実。ただWPCエキスポについては、コモディティとしてPCという立ち位置もあり、旧来のビジネスショウにも近い横断的な側面も持ち合わせていた。

近年の傾向

 近年の動きを見ると、2000年代中盤からマーケティングを中心としたホリゾンタルな領域のカンファレンスが台頭している。ネットマーケティングフォーラム、アドテック東京やWeb&Mobileなど、多くのカンファレンスが開催された。

 しかしこの数年でみると再びサービス提供企業が主催するプライベートショーが台頭してきているのは間違いがなく、GoogleやアドビAWSといった複数の産業セグメントに対して情報を提供するカンファレンスが勢いを増している。そして一時は勢いを失っていたCES(Consumer Electronics Show)が近年勢いを取り戻しイノベーションのプラットフォームとなっているのが興味深い。

 考えるに、バーティカルな情報というのは、普段の業務の中でも十分に手に入るべきものであり、敢えてカンファレンスに参加する必要がなくなってきたのではないか?

 同時に、普段の業務ではなかなか集める事の出来ない、自社の業務を効率化するためのサービスこそは、カンファレンスで収集するべきものだとの認識が生まれた?

 これが、イベント情報を集めている時可視化できるキーワード群であり、”AI”、”アナリティクス”、”イノベーション”、”ブロックチェーン”といった言葉が多く使われている。