なぜ主催者はイベントをキャンセルしないのか?

 ここ数週間、世界中で様々なイベントがキャンセルされており、国内でも数多くのイベントがキャンセルされている傍ら、出展企業からの要請にも関わらず大規模展示会を強行する主催者がおり、主催者の対応は様々だなと感じます。

各主催者の対応をまとめると:
・中止、または延期
・オンライン、またはそのハイブリッド開催
・回りを見ながら、様子見(実はチキン・レース)
・とにかく強行開催(罹患リスクは参加者持ち)
になると思います。これは、国内外問わずのようです。

主催者から見たイベントのキャンセルとは?

なぜこのような対応になるのかをあらためてまとめると:

1.出展企業・協賛企業からの売上の問題

 既に売上として確保している出展費・協賛費、リファンドしたくないのは当然です。可能であれば日程をずらして開催もありますが、そもそも国内には大規模会場の数が限られており、日程変更は容易ではありません。さらに3ヶ月半年と時期をずらすことにより、顧客の予算期との兼ね合いも発生し、仮に年内に実施可能であっても、翌年の開催で出展してくれるかどうかが分かりません。

2.会場費は発生してしまう

 タイミングにもよりますが、今回のように直近でのキャンセルを考えた場合、確実に会場費は発生します。ケースバイケースでもあるが、基本的には主催者がイベントがキャンセルする場合は全額費用が発生するのが大半でしょう。前述のように国内は会場数が限られているため、会場の権限も強いです。

3.感染症によるキャンセルをカバーする保険がない(らしい)

 特にグローバルのイベント業界においては、Force Majeureという不可抗力による契約責任の免除であったり、イベントの損害保険のようなものがあり、天災やテロによるイベントの実施不履行を含めてたステークホルダーの損害を軽減するための措置は取られるのですが、知る限りでは今回のCOVID-19のような新型の感染症については該当しないようです。
 これにより、現状では主催者によるイベントのキャンセルは100%主催者によるコスト負担が発生する可能性が高いのが現状でしょう。

 もちろんこれらがすべてではないですが、大きな理由であることは間違いないです。年間数本のイベントしか運営していない主催者にとってみれば、一回のキャンセルは会社の存亡に関わることです。自身でも東日本大震災の直後に、米国本社より2ヶ月後のイベント中止を求められ、さらにはオフィスを閉じて大阪に引っ越せとまで言われた経験があります。
 ここで大事なのは、正直であることかと思います。今回の感染症とは状況が大きく違いますが、東日本大震災の直後には協賛企業や参加者の方々に正直に状況を説明し大きなご支援を頂いた結果、本社を無事説得することができました。

 日々、グローバルのイベントスケジュールチェックをする中で、興味深いポストを見つけました。これはMartechWestを主催するThird MediaのCEOであるChris Elwellのメッセージですが、要約すると”主催者もスポンサー・参加者と運営設備等のベンダーとの板挟み”になっているということです。

 下請けであるベンダーにしても、キャンセルは避けたいので法を盾にして利益を確保していきたいところではあると思います。
今回米時間の15日に正式にCDC(米疾病対策センター)からの公式アナウンスもあり、これによって法制に対しても柔軟な対応の可能性が出てきたので、本格的にイベントのキャンセル(延期)に向けた協議が始まるのかとも考えています。

私たちはなにをすべきなのか?

 今回のようなCOVID-19の対策としての大規模イベント自粛という流れで考えた場合、痛みはシェアせざるを得ない(一人だけ無傷ではいられない)と思います。2月に開催予定であったMWC Barcelonaがキャンセルになり、出張を予定していた方々もキャンセル料等での損失面もありましたが、一部の宿泊施設では、地域経済の痛みを共有するような形で予約手数料以外の宿泊費は発生させず、なおかつ次回訪問の時は15%の割引オファーまでしてたらしいです。
 これは大英断とも取れますが、顧客のLTV(Life Time Value)を上げるためにはベストプラクティスではないかと思います。地域経済にとっても大きな打撃を与えるMWCのキャンセルではありましたが、彼らは確実に復旧後のことを考えて動いているのです。

 今後国内でも、助成金等を利用してイベントの開催中止・延期に柔軟に対応できる仕組み作りが重要ではないでしょうか?特に運営コストの大半を占めるであろう会場費を含めて痛みを分かち合い、今後のことを考えていくことが重要です。

 このCOVID-19との向き合い方が確立され、皆さんがあらためて海外カンファレンスに参加するときに向けて、イベントグローブも様々な情報を提供していきたいと思います。