イベントマーケティングの考察(2)

 年間3,000件を超えるグローバルイベントを紹介しているイベントグローブには、海外イベントの調査を通じて様々な事例が集まります。この調査から見えてくるイベントマーケティングのTipsを、イベントを運営する企業や主催者の皆さんにお届けしていきたいと思います。

 前回は「イベントサイトの間違い探し」として、イベントサイトにありがちな問題をまとめました。今回はそれらの課題に対して、どのような取り組みがなされているかをまとめます。

ユーザーに役立つサイトの取り組み

〜イベント参加のユーザー負荷を減らすためのフレームワーク〜

 日々の海外イベント調査を通じて、主催者によるリアルタイムな情報提供やミスリードを減らすための仕組みの必要性を感じています。イベントサイトの役割は、ユーザーに対して最短の時間で最も正しい情報を提供することにあります。これらの課題を解決するための取り組みについてまとめてみました。

目次:

なぜ情報が抜けてしまうのでしょうか?

Googleによる取り組み

イベントグローブの取り組み

なぜ情報が抜けてしまうのでしょうか?

 前回のポストにまとめた、イベントサイトにおいて必要な情報が漏れている課題ですが、この理由は多くのイベント主催者が競合他社サイトの存在を意識していないことにありそうです。傾向としてイベントの主催者は自社のイベントの存在しか考えておらず、自社イベントをOnly Oneとしてプロモートしています。

 しかし現実には、テーマの似通ったイベントは複数ありOne of Themなのです。参加者は複数のイベントサイトを比較しながらどれに参加するかを考えるのです。

 これは一例なのですが、ロンドンで開催されるFintech World Forumというイベントがあります。サイトの作り込みとしては十分に見えるのですが、残念ながら基本的な「What」の部分が欠けています。ここでいうWhatは単に「フィンテックのカンファレンス」ということではありません。「どんなフィンテックのカンファレンス」であるかが重要なのです。

 仮にこのイベントに参加を検討して会社に承認を取る場合、参加者は自分でこのイベントの魅力を作文しなくてはいけないのです。他のフィンテックカンファレンスと比較して、なぜ?このイベントなのか?

 ユーザーは、複数の同テーマのイベントを比較し、最終的に会社が納得してくれそうなものを選択します。そのためには、前回説明した5W1Hのフレームワークが必須項目なのです。仮にユーザーが必要な情報を得るのに30分も掛かるようであれば、そのイベントは選択肢から外されてしまうのが現実です。

 マーケティングが機能しているサイトは、ユーザーに負荷をかけません。当たり前のように必要な情報が見つかる。それが理想のサイトです。参加を考えているユーザーが次回参加のイベントを捜すリサーチの初期段階で必要な情報は限られていて、それら5W1Hを5分で見つけることが出来るのが理想のイベントサイトの構成だと思います。

Googleによる取り組み

 グーグルでは、イベント主催者向けに下記のような取り組みをしています。

 元々Web上でやり取りをするすべての情報は、W3Cのルールに準拠することが望ましいのですが、SSL対応すら済んでない商用サイトもあり、必ずしも対応が進んでいるとは言えません。

 Googleでは今回のCOVID-19の蔓延を受け、2020年の3月にイベント事業者に向けてイベントサイト制作の際に、スケジュールの延期・中止をリアルタイムで告知できるプロパティ実装の呼びかけをしています。この仕様自体はかなり前からW3Cにより推奨されていましたが、今回のCOVID-19の蔓延を受けて改めてGoogleが推奨してきているのです。まだまだ主催者側が対応していなかったり、その情報を掲載するサイト運営者側のプラットフォームが追いついていないのが現状で、実用的になるにはまだ時間が掛かりそうです。

 世界中でイベントを運営するすべての主催者がこういった取り組みをすれば、スケジュール情報だけでなく、登壇者やプログラム情報をリアルタイムで拡散することが可能になり、よりよいマーケティングプラクティスの実行が可能となります。

イベントグローブの取り組み

 情報はミニマムに5W1Hにしぼります。コンテンツも過度な翻訳はしません。なぜなら会場で参加者は英語しか見つけられないからです。
 イベントグローブのコンテンツを見ているとスピーカー情報の人名や社名に日本語が含まれています。これはあくまでも情報を見つけやすくするためのアイキャッチであって、翻訳を見せることが目的ではありません。

 また同時期に同会場、関連テーマで開催される複数イベントは、ひとまとめにして同時開催イベントやゾーニングとして紹介します。

いくつかの例を上げると;

TechXLR8
アジア/ヨーロッパで開催される、Internet of Things World、Blockchain for Business Summit、AR & VR World Summit、Cloud & DevOps World Summit、Elevating Founders、AI Summit、Elevating Founders、Edge Computing、Broadband Forum、5G、Startup Elevateなどで構成されるテクノロジーイベント。

TechEXシリーズ:
Encore Media Groupが北米、ヨーロッパで開催するIoT Tech Expo、Blockchain Expo、AI & Big Data Expo、Cyber Security & Cloud Expo、5G Expoから構成されるイベント。

Manufacturing Expo:
InterPlas、InterMold、Automotive Manufacturing、Surface & Coatings、Assembly & Automation Technology、RobotXMEから構成される製造業向けイベント。

 これらのイベントは、Web上では22個の個別のイベントとして公開されていますが、実際には3つのイベントです。それぞれのイベントのゾーニングを個別のイベントとして掲載しているだけなのです。

 イベント主催者からすると、意図的に複数のイベントを開催しているように見せるケースもあるのですが、参加者にとって同時期に同会場で開催されるイベントを把握するのは簡単ではなく、イベントグローブでも、複数のイベントページを公開した後に単なるゾーニングであることに気づく場合も多く、あとからまとめるケースも多いのです。

 イベントグローブでは、主催者が個別イベントとして扱って公開している場合であっても、実態的に一つのイベントのサブコンテンツであると判断した場合には、参加者の便宜のためひとつのイベント内のゾーニングとしての扱いをしています。

 今回は、イベントサイトにありがちな課題をまとめました。次回はもう少し踏み込んで具体的にユーザーの役に立つサイトを作り方についてまとめます。


イベントグローブでは、今後もイベントを運営する企業や主催者の皆さんのために役立つイベントマーケティングTipsをお届けしていきます。

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