CESの次はMWC!

もうすぐ2019年も幕を閉じようとしている。2019年はこれまで以上にテクノロジーの進化のスピードは加速し、我々の生活も現在進行形で変革の過渡期にあると日々実感する。そして来る2020年、日本は自国でのオリンピック開催もあり、国全体で新時代の扉を開ける節目の年だと見る向きも多い。オリンピック後の日本を憂う声がある一方で、万博やIRなどのトピックスを挙げてポジティブな視点から2020年をスタートラインとして復活していくのではと見る声も少なからずある。そんな2020年、グローバルカンファレンスの世界では昨年までと同様に年明け早々の1月にCESが開催され、それに続いて2月にはバルセロナでMWCが開催される。

MWCは200を超える国・地域から、様々な業界の人々10万以上が参加する世界トップクラスのテクノロジーカンファレンスとして、毎年2月にバルセロナで開催されているイベントであり、6月には上海、10月にはロサンゼルスでも開催されている。主催は世界の移動体通信事業者や関連企業が構成する業界団体のGSMアソシエーション、来年のバルセロナ開催は2020年2月24日から27日を予定している。かつては「モバイルワールドコングレス」としていたイベント名称を今年から正式に「MWC」に変えている。元来はモバイル業界の最新テクノロジー・ビジネスの見本市として始まったこのイベントも、時代が進むにつれ、もはやモバイルだけの領域に収まるものではなくなり、あらゆる産業を横断的に貫く、トータルテックカンファレンスとなってきている。

2019年MWCのテーマは「Intelligent Connectivity」だったが、2020年は「Limitless Intelligent Connectivity」となっている。前回のMWCでは、世界各国でいよいよ5Gの高速通信サービスが商用化を控える目前ということもあり、5GがIoTとの組み合わせにより、コンセプチュアルな視点だけにとどまらない具体的なユースケースとして示されていた。ショーケースでは、多くのベンダーが5Gを活用したプロダクト・サービスを提示してはいたものの、その多くは既存の技術の組み合わせによって実現可能なものであったり、もしくはコストがかかりすぎるために非現実的なものであった点など、まだまだ5Gが発展途上であることを示していたと言える。そういう意味で、来年のMWCでは、より一層現実的でそして5Gならではの具体的なユースケースが幅広いカテゴリーにおいて数多く展開されることが期待される。MWCは5GやIoTという大きな括りのテーマで産業を横断的に貫いているため、コンシューマーに近いスマホやタブレット、ウェアラブルデバイスの展示から、ロボットに自動運転車、モバイル決済やセキュリティなどに至るまで様々なカテゴリーの展示が充実している。

開催地となるバルセロナは2000年より大規模なスマートシティプロジェクトを積極的に進めており、2014年には欧州委員会の「ICTを活用して最もイノベーションを推進する都市iCapital」に選ばれている。同市では、IoT技術の活用による公共施設のエネルギー管理・公共交通機関の運営をはじめ、廃棄物収集管理、環境管理、防犯対策といった200件を超えるプロジェクトが進行し、ほとんどの行政、公共サービスにIoT 技術が活用されている。地球環境への配慮の意識が高いヨーロッパでは近年サーキュラーエコノミーが叫ばれ、様々なビジネスをこのサーキュラーエコノミーに適応させるような動きが活発になっている。そういった背景があるからこそ、バルセロナのスマートシティ構想はただの「利便性」追求だけでなく、環境配慮の市民性から生まれるべくして生まれていると言える。そんなバルセロナだからこそ、最先端のテクノロジーを支える「5G」をどのように捉え、どのように扱い、そして私たちの生活をどう変えていくのかという問いの探求にあたり、バルセロナで開催されるMWCが果たすべき役割は大きいのかもしれない。

またMWC開催に併せて、MWCのパスで入場できる4YFNという、世界中の勢いのあるスタートアップを集めたイベントもバルセロナ市内の別会場で開催されている。「4 Years From Now」という正式名称の通り、これから4年間の成長が期待されるスタートアップが集結する祭典である。かつては独自開催していた4YFNだが、今はバルセロナ、ロス、上海で開催される全てのMWCで併催され、MWCにおける革新のプラットフォームとして、スタートアップ、投資家、企業が繋がり、そのマッチングによってイノベーションが生まれ得るような環境を提供している。4YFNには600社以上が出展し、コロンビア、フランス、ギリシャ、ハンガリー、日本、ヨルダン、韓国、英国などからスタートアップの代表団が参加し、4YFNのスポンサーには、サバデル銀行、ダイムラー、インテル、ビザのほか、日本、韓国、スペイン、台湾といった国や地域の公的機関が含まれているほど、紹介されるスタートアップもそれを支えるスポンサーも世界中から集まり、グローバルスタンダードの最新スタートアップシーンを体感することができる。もはやシリコンバレーだけがイノベーションの中心ではないと言われ、革新的な新しいスタートアップは世界中様々なエリアから生まれてきているが、この4YFNはそういった世界中様々なスタートアップが集まる場として、新しい役割を求められ始めている。日本からもJETROの支援で「JAPANパビリオン」が毎年展開されている。未来のユニコーン候補生が集まるこの4YFN、来年もここから新しいイノベーションが生まれること期待したい。

ご紹介してきた通り、MWCはバルセロナという街の特徴とリンクさせ、同じ市内で開催される4FYNとの連携含めて、バルセロナ全体を活かしたグローバルかつローカルなカンファレンスイベントである。これだけ世界規模で成長した10万人規模のイベントであるためにバルセロナの街自体への経済的影響度も計り知れない。イベントに直接的に関係する領域だけでなく、泊まるホテル、そこでの食事、歩いて見える風景などを体感すること、つまり歴史と文化を色濃く内包する観光都市としてのこの街の雰囲気を味わうことも、MWCに参加する魅力の一つかもしれない。

テクノロジーの進化とともにこれだけあらゆるもののデジタル化が進み、様々なコミュニケーションやビジネス活動がデジタライゼーションされるこの時代にあって、リアルな場所にわざわざ世界中から人が集まってオンサイトコミュニケーションを図ることの価値、それこそが「イベント」の持つ魅力であり、ラスベガスの次はバルセロナに飛び立つ理由になりうるのだと思う。イベントとは体験そのものであり、ビジネスの世界において関わる全てのビジネスパーソンの体験の価値を高め、そしてリッチにすることが、いいビジネスを生み出す最大の要因であることは間違いがない。MWCというイベントに行くことでどんな体験を得ることができるのか、さあバルセロナで一緒に体感しよう!
Nos vemos en Barcelona!!

MWC2020ツアー