CeBITの終わりとCESの再興に見るもの

ホリゾンタルにはなりきれないのか?

CeBITと言えば、90年代には米国のCESやCOMDEXと並んでヨーロッパを代表するショーであったが、近年は明らかに縮小傾向にあったようだ。

これは近年のデジタルシフトで台頭してきたSXSWMWC、そしてリバイブしたCESとは違う動き。

Wiredの記事にもあるように、参加者の戸惑いを埋めることができるか?という意味ではデジタルの世界でも2012年位のad:tech new yorkと重なってしまう。当時、SXSWを意識したのか、セレブやアーティストによるセッションを取り入れて、より多様性を持たせようという動きがあり、スピーカーにギャラまで払って、ミュージシャンや詩人などを招聘していたのだが、会場で見ている限りは参加者の反応は良くなかった。

CESの再興は自助努力だけではない?

古き良きラスベガスのダウンタウン

CESは変わることができた。ならばなぜCeBITは変わることが出来なかった(正確には新しい姿をサステインできなかった)のか?ドイツ人とアメリカ人の国民性もあるとは思うが、実はCESを取り巻く外的要因も大きかったのではないだろうか?

ホテルは競ってエンタメな造作をする

CESが開催されるラスベガスという街はもちろんカジノの街であることは間違いなく、今でも古き良きアメリカが残っているのだが、近年、特に2000年代以降は街のエコシステムが大きく変わっている。かつてのカジノ収入主体のエコノミーからミュージカル等のエンターテイメントを始めとしたカジノ外収入にシフトしてきた事と関係があるかもしれない。元々7割を超えていたカジノ収入は、2017年現在3割を切るレベルにまで下がっており、これによりカジノに興味のないファミリー層までを魅了する街へと変貌した。

ベネチアンホテル内の運河

この街を訪れる観光客は年間4290万人(2016年)、そしてこれらの観光客に コンシューマーに向けたサービスの向上(=イノベーション)が起きやすい環境 この街のトランスフォーメーションがCESの再興を後押ししたのでは無いだろうか?

しかし残念ながらCeBITは変わることが出来なかった、或いはMWCWeb SummitSouth Summitといったよりデジタル世代のイベントに主役を奪われた。

CeBITの開催地であるハノーファー(ハノーバー)は、ドイツの中北部にある商工業都市である。近年は環境の良い街として人気が高いことは確かなのだが、ラスベガスのように街外からの訪問客が中心の街とは変化の速度が違う。  Wiredの記事にもあるように2017年のCeBITの変化はおそらくかつてないペースで行われた。しかし展示会一つの変化では、その周辺のエコシステムをサステインすることは難しい。

言い換えれば、バーティカルからホリゾンタルへのシフトに失敗したのかなと。

CeBITを訪問したことがないので確かなことは言えないが、後発の勢いのあるイベントに共通して言えることは、会場の盛り上がりが街にも飛び出しており、2014年に参加したSXSWには地元のボランティアが数千人単位で参加しており、皆自分事としてイベントを盛り上げていた。Web Summitなどは空港についた途端に到着ロビーからサミット一色らしい。会場を飛び出したエコシステムが可動しているかどうか?は重要なポイントなのだろう。

さて国内を見ると何が起きるのか?90年代までは勢いのあったエレクトロニクスショーはCEATECとなったが、かつでの勢いはない。そして、ゲームチェンジャーとしてカンファレンスのあり方を変えたデジタル系のカンファレンスもいまやPlazmaやSlushといった新しいプレイヤーに主役の座を奪われつつある。

次の世代を作るのは、どんなイベントなのだろうか?